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視察レポート

セネガル訪問初日レポート:蚊帳の配布~サッカー教室

mudefでは20141月、団体初の試みとして西アフリカ・セネガルでの蚊帳の配布を実施しました。

アフリカ最西端の国であるセネガルは、非常にハイセンスなファッションと音楽、洗練された文化の発信地。観光シーズンでもある1月には、多くの人が訪れます。

他方、年間を通じてその生活に影響を与えるマラリアは今なお深刻です。

セネガルにおける病気や死亡の主原因となっているため、セネガル政府にとっても非常に高い優先順位がつけられています。全国でWHOの推挙する様々な効果的戦略が実施されたことで、マラリアの発生率は、人口千人あたり130例(2006年)から14例(2009年)と推移しました。しかし今なお、人々の生活への脅威であることには変わりません。

長期残効型殺虫剤処理済蚊帳 (long lasting insecticide-treated nets: LLIN)の全国普及は、大量に習慣的にLLINを配布するという方法で、マラリア対策をリードする一つの戦略となっています。しかし、政府のマラリア対策活動にもかかわらず、実は、十分その重要性、使い方について説明を受けたにもかかわらず、夜間、毎日LLINを使っているわけではない住民もいると考えられています。

今回の配布を行ったのはmudef Ambassadorでもあり、元全日本サッカー選手としても有名な、岩本輝夫さん。岩本さんにとっては、今回が初めてのサブサハラアフリカとなりました。

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配布を行った1日目の127日。この日は岩本さんはダカール市内にあるメディアグナス地区を訪問。この地区は2013年、MISIAが訪問した場所でもあります。

この場所はダカール市内の中でももともと湿地帯であった場所に排水対策が十分に行われていなかったので、スラムを含む新興住宅地では汚水の混ざる浸水が長期に渡り続き、衛生環境が悪化し、マラリアなど蚊が媒介する感染症が蔓延した場所でもあります。

繰り返される大洪水、溜まった水の衛生対策は、彼らの生活に大きく影響を与えていました。道路の水はけが悪いために不安定であるほか、地区の家の中には洪水により浸水、堆積をしたために、家を追われ、新たな居住地を求める人もいました。最盛期には6万人いた人口も、洪水により45000人弱にまで減っています。

の低地にすまざるを得ない人の多くは低所得層であり、生活に余裕があるわけではありません。不衛生な環境の生活により多くが健康への影響はもちろん、湿地によって発生するマラリアの被害を受けています。

現在ヘルスセンターに行くと蚊帳を無償で提供する試みがなされています(二つ目以降は有償)。しかしそこに行くことが物理的にも、また金銭的にも厳しい、そんな家庭のためにも、大きな意味を持っています。

この街を2013年、MISIAが訪れたとき、ファーマジェフさん、カジャサンバさんの自宅を訪ねました。大家族で洪水の危機を乗り越えたファーマジェフさんと、一人で子育てをしていて、夫は出稼ぎで帰ってきていない状況のカジャさん。カジャさんは訪問時にはマラリアを発症、薬は飲んでいるものの、体調があまりよくない中での訪問となりました。

蚊帳がベッドに一つ設置されることから、それぞれの家のベッドの数に応じた蚊帳を配布、岩本さんによって各ベッドにつるされました。

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「寝心地いいね」と岩本さん。蚊帳を広げたベッドの中で寝てみます。蚊帳でベッドを覆うことで、マラリアの不安から取り除くことができます。

これらの蚊帳は、今回の配布スケジュールのアレンジメントを依頼した現地NGO「アンテルモンド」とベルギーより資金援助を受けている団体「RMG」によって配布が決められます。RMGは地区の子どもたちの幼稚園の運営や地区の子どもたちの教育支援を実施しています。RMGは地区の保健や病人に関する情報が最も集まっている協会があることから、保健関係者にも参加してもらいながら配布となります。RMGでは子どもや教員、関係者の数250個を配布するほか、保健センターと連携の上で残る蚊帳の配布先を決定、維持管理することとなります。


ゴレ島へ

午後のサッカー教室の合間にダカール市内からフェリーで約20分。世界遺産でもあるゴレ島を訪問しました。美しい街並みと裏腹に、この地より、何千万もの奴隷がアメリカへ、カリブ海へ、ヨーロッパへと送り出されました。家族や兄弟、愛する人と引き離され、人としての尊厳を奪われた奴隷のシステムは、今なお私たちの胸をうたずにはいられません。

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サッカー教室

今回ケジャワイ市内のアモ地区でサッカー教室も開催しました。

サッカーが盛んなセネガルで、各地区には「フットボールアカデミー」と呼ばれる地元住民、有志が運営するサッカークラブがあります。今回訪れたアモ地区では、学校の先生も運営メンバーに入ることで、学校で学ぶことだけではなくコミュニティ全体で、子どもたちの育成をサポートするのだ、という意識の高さを感じました。

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町のあちこちに見かける広場を用いて行われている活動には岩本さんも参加。熱心に練習風景を眺め、時に的確なアドバイスを送ります。特にユースの部では、その身体能力の高さや決して整地ではない、条件の悪いフィールドにもかかわらず、素早い動きをする若者に目を見張りました。

2日目は初日に続き、残る蚊帳の配布とサッカー教室を行う予定です。